施術者のミタテ~臨床上いかにして問題を発見しているのか~

こんにちは、骨格屋の山田です

新年最初の話題は、普段私達が皆さんの状態を臨床上いかにして問題を発見しているのかを簡単にですが紹介したいと思います(家政婦のミタっぽい題名ですいません汗

見立てとは?

私達が施術前に皆さんのお話し(問診)を聞くのは皆さんの持つ問題(症状など)が今どのような状態にあるか、どこに、どのようにアプローチをしていけば良いのかという情報をまずは大まかに推測するためです。(これを見立てといいます)

ですので、この問診による情報ですぐに原因組織やアプローチの場所を結論づける訳ではありません。
あくまで問題を絞り込むための材料となります。
この後の色々な検査で評価を行い客観的なデータを集めて問題を見極めていきます。

問題をしぼりこむための質問

具体的な質問の例として
解剖学的な部分での質問は「どこが?」。
生理学的な部分での質問は「どのような?」。
運動学的な部分での質問は「どうしたとき?」。

「どこ?」で示す場所が・・・

指で指し示す場合は局所痛で骨折・関節・筋が原因の疑いがあり、手のひら全体を広げてさするような場合は神経や関連痛でそこに原因組織がない可能性が疑われます。

「どんな?」で表現されることは・・・

安静時にズキズキする痛みがあれば炎症が疑われ。
動かない・感じない・しびれるは神経の損傷が疑われ。
動かしたときズキッとする鋭い痛みの場合は炎症か筋の過緊張の疑い。
キリッとする痛みや可動域の最後の方の痛みは関節の疑い。
重だるいような感じは、深部の筋や関節や椎間板が疑われ。
時間差で症状増悪や改善がある場合は靭帯が疑われる。

「どうしたとき?」では・・・

どのような動きをしたときに症状がでるかがヒントになります。
筋肉が縮んだ時に痛むのか、伸ばされた時に痛むのか、圧迫されたときに痛むのかでもヒントになります。

また心因性が原因の場合は、嫌なこと(ストレスに感じるもの)を頭に浮かべたときに症状が誘発されることがあります。

レッドフラグ=禁忌症状を見極める

構造的な問題を判断する時は、まず症状が特異的でリスクの高いレッドフラッグと呼ばれる禁忌症状=脳・神経のものかを先に判別していきます。
脳や神経に問題がある場合、動かない(動かしにくい)、感覚が無い、しびれる、などの神経症状特有の症状が出現します。緊急の場合はその場で病院をガイドします。

神経に問題がある場合の評価は神経学検査で筋力テスト、腱反射、知覚テスト、などがあります。

原因組織を見つける

関節や筋に問題がある場合の評価は関節可動域の最後(エンドフィール)の可動性の評価や、運動検査(自動運動、他動運動、等尺性抵抗運動検査)、関節副運動テストなどがあります。
場合によってこの他にスペシャルテスト(カイロプラクティック特有の検査)や整形外科検査等を行ない、より詳細を突き詰めていきます。

本当に大事なこととは

こうして問題を起こしている原因組織を見つけていきますが、大事な所はそこではありません
大事なのは、なぜそこに問題が発生したのか?なぜ問題が繰り返されるのか?なぜ良くならないのか?など、そこに問題を起こさせた根本原因は何なのかを突き止めることだと私は思います

ただ人間の身体は単純ではありません、状態によっては色々な問題が複雑に絡み合い何とか心身のバランスを保っていることが多いので、問題解決までに時間が掛ることが多いと思います

対症的にその場で「楽になった」としても、根本原因が変わらなければきっとまた同じ症状に悩まされますが、根本原因の改善をすると再発しにくくなるに違いないと思います。これが本当に「良くなった」状態だと思います

「楽になる」と「良くなる」では似ているようで違うのです

カイロプラクティックケアで「楽になる」の向こう側にある「良くなる」を一緒に目指していきませんか

最後までお読み頂きありがとうございます

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健康診断受けていますか?その2 「検査結果の読み方」

みなさんこんにちは、東口店の山田です

今回は「検査結果の読み方」です。
検査結果が出てその場で医師から数値を聞いても後で忘れることってないでしょうか

検査結果の数値を読んでセルフケアのヒントにしましょう

検査結果には、「基準値」というものがあります。これは健康な人を集めて検査した結果の平均値であるため個人差がありますので絶対にこの範囲でなければいけない的なものではありません。

企業診断の場合には、検査結果のほかに「総合判定表」が配られています。総合判定表は、一般的にA~Eで判定されることが多いです。
ご自分で検査結果を確認する時は、過去の検査結果と比較してご自分の経過変化をチェックしていくことが大切です。そのためにも毎年定期的に健診を受けることをお勧めします。

検査項目の基準値

身長・体重

BMI(体格指数)=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で算出されます。
BMI指数:肥満25以上、普通18.5~24.9、やせ(低体重)18.5未満。

メタボリックシンドローム
健診では腹囲(おへその高さで測ったサイズ)を計ります。
これが基準値の男性85cm未満、女性90cm未満を超えていると「内臓脂肪型肥満」 と判定されます。これに加えて、高血糖・高血圧・脂質異常のうち2つ以上ある場合に 「メタボリックシンドローム」と判断されます。

○疑われる疾患:肥満の場合には、糖尿病・高血圧症・脂質異常症・心筋梗塞・痛風・脂肪肝など。
やせの場合には、甲状腺機能亢進、悪性腫瘍など。

視力検査

基準値は視力0.7~1.2

聴力検査

基準値は「異常無し」と表される。

胸部エックス線検査

基準値は「異常陰影なし」と表される。
肺に腫瘍や炎症などの病変があると白い影が写り ます。

血圧検査

収縮期血圧129mmHg以下、拡張期血圧84mmHg以下。血圧は常に一定ではなく、特に病院で測る場合は自宅で測る場合より10mmHg~30mmHgも高くなる傾向があります。
血圧が高めの方は毎日自宅で測定したほうが、血圧の変化を知るのに役立ちます。

血中脂質検査

1、総コレステロール
基準値:220mg/dl未満
2、HDLコレステロール
基準値:40mg/dl以上
血管壁に沈着する余分なコレステロールを回収して動脈硬化を防ぐ働きから「善玉コレステロール」と呼ばれています。
3、LDLコレステロール
基準値:120mg/dl未満
血管壁に沈着し動脈硬化の原因になることから「悪玉コレステロール」と呼ばれています。
しかし、「善玉」も「悪玉」も身体を維持するためにはどちらも必要です。
4、中性脂肪
基準値:150mg/dl未満

血糖値検査

血糖は血液中のブドウ糖のことです。健康であれば、食後に血糖値が上がると膵臓(すいぞう)からインスリンが分泌され、血糖値が過剰に上がらないようにコントロールされています。
1、空腹時の血糖値
基準値:100mg/dl未満
2、HbA1c
基準値:5.2%未満
血糖とヘモグロビンが結合したグリコヘモグロビンの値が「HbA1c」。これを調べることで、過去1~2か月の血糖の状態がわかります。

肝機能検査

1、AST(GOT)、ALT(GPT)
基準値:0~30IU/I
ASTは肝臓、心臓、筋肉にALTは主として幹細胞に存在する酵素です。どちらもたんぱく質を構成するアミノ酸を作る働きを持っています。
ALT>ASTの場合は慢性肝炎や脂肪肝が疑われます。
ALT<ASTの場合は肝硬変、肝臓がん、アルコール性肝炎、急性肝炎が疑われます。
2、γ-GTP
基準値:0~50IU/I
γ-GTPは肝臓の解毒作用に関係するたんぱく質分解酵素です。γ-GTPだけが基準値を上回っている場合は、アルコールの飲みすぎが考えられます。

貧血検査

1、赤血球数
基準値:男性400~539万/μl、女性360~489万/μl
基準値より低い:貧血や腎不全が疑われます。
基準値より高い:多血症が疑われます。
2、血色素(ヘモグロビン)
基準値:男性13.1~16.6g/dl、女性12.1~14.6g/dl
基準値より低い:鉄欠乏性貧血、慢性出血性貧血、腎不全などが疑われます。
基準値より高い:多血症、赤血球増加症などが疑われます。

尿検査

1、尿タンパク
基準値:陰性(-)
疑われる疾患:糸球体腎炎、糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、尿路疾患など。
2、尿潜血反応
基準値:陰性(-)
疑われる疾患:尿路結石、膀胱炎、糸球体腎炎、尿路腫瘍

参考文献:家族を守る 健康管理&応急手当ハンドブック

最後までお読みいただきありがとうございました

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~実は手軽にできる瞑想法~様々な代替療法の起源を探る

みなさん、こんにちは
西口店の中北です

今日は、瞑想法をご紹介します

誰でも手軽に簡単にできるものなので、みなさんも是非やってみてください

瞑想の歴史は古く、2500年以上前から行われていると言われています

特に東洋において、精神や感情のコントロール、生理機能の制御、悟りの境地への導きとして、主に宗教の中で重視されてきました

この東洋式の瞑想法は、1960年代に西洋にも紹介され世界中に広がってきていますが、逆に西洋からも様々な瞑想法が伝わってきています

最近では、瞑想法が広まるにつれ学術的研究も行われてきていて、瞑想が人間の脳と身体と心の相関に介入することによって、様々な症状を軽減させるのではないかと考えられています

瞑想の目的は、リラクゼーション効果によるストレスの軽減と心身の健康促進、自己への洞察と気づきを深めることですが、それには様々な方法があり、大きく分けると「身体を動かす方法」「静止して行う方法」の2つになります

「身体を動かす方法」には、ヨーガ気功のように一定のポーズをとるものと、太極拳のように常に動きながら行うものとの2種類があります

一方、「静止して行う方法」は大きく以下の3種類に分けられます

1.精神静的瞑想法

心を静めることを目的に行うもので、さらに注意集中法マインドフルネス瞑想法に分けられます

注意集中法は、簡単な言葉・音などの繰り返しやある特定の対象物に意識を固定する方法で、キャンドルやマントラを使う方法があります

マインドフルネス瞑想法は、ある対象物(例:呼吸)に注意を集中させる方法です

2.精神力動的瞑想法

1つの対象により心を集中させるために、想像力やイメージなどの能動的な精神的活動を意識的に用いるもので、祈り黙想内観法などがあります

3.内的エネルギー活性瞑想法

身体に流れているとされるエネルギー(気やプラーナなど)の活性化とコントロールを目的とした瞑想法で、仙道における気功法密教ヨーガ法などがあります

このように、瞑想法といってもいろいろな方法がありますが、多くの方法に共通しているのが、周囲の環境を整え、良い姿勢を保って行う、という点です

逆に言えば、「最低限の環境と姿勢を維持できれば誰でも簡単に始められる」ということです。

それでは早速、簡単にできる瞑想法のやり方と注意点をお教えしましょう

環境の準備
・静かで注意をそらすものの少ない場所を選びます。
・ゆったりとした衣服を着て、時計を外します。
・1日に1~2回、朝夕に行い、1回5~20分行うようにします。
・空腹時、満腹時、激しい運動後は避けましょう。

姿勢
・足を組んで座るか、椅子に座ります。必要であれば座布団やクッションを用いて、背筋が伸びて安定しリラックスできる姿勢をとるようにします。
・目は閉じますが、すぐに眠くなってしまうのであれば、半眼にしても構いません。
・手は身体の前で組むか、膝の上に楽に乗せます。
・呼吸は鼻から息を吐き出し、次に鼻から息を吸い込みます。ゆっくりと深い呼吸をするように心がけ、呼吸に集中し、雑念がわいてきても気にせず呼吸に集中しましょう。
・瞑想が終わったら、軽く身体を動かします。

慣れてきたら、歩きながらの瞑想も実践してみましょう。

・15~20歩は歩ける室内や安全な場所で行いましょう。
・身体はまっすぐに姿勢よく、腕は自由にリラックスさせ、視線は2mくらい先に自然に落とします。
・息を吸いながら右足を上げていき、吐くときに踵から足を地面につけます。次の呼吸で左足を同様に動かして歩きます。
・ゆっくりと呼吸をしながら、音をたてずに歩き、呼吸と歩行に集中します。
・余裕がでてきたら、全身に注意を向けてみるのもいいでしょう

瞑想の効果としては、血圧降下や血清コレステロール濃度の低下、ストレスの軽減、アルコールや喫煙の減少、さらには自己コントロール性や人生に対する熱意の上昇など、多岐に渡るとされています

適応疾患としても、気管支喘息や生理痛、アレルギーや関節リウマチなどが報告されています

しかし現在のところ、瞑想法の効果について詳しい解明はされておらず、今後の研究が期待されています

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健康診断受けていますか?その1 なぜ健康診断を受けるの?

みなさんこんにちは、東口店の山田です

みなさんは、定期的に健康診断を受けていますか
会社で受けている方が多いと思いますが、1年に1回くらいでしょうか

私は5年前に1年の内に2回も入院した苦い経験から、今でも大きな健康診断は1年に1回、その他に約3カ月に1回くらいのペースで血液検査をしています

それでは今回はなぜ健康診断を受けるの?というところから始めていきたいと思います

定期的に健康診断を受ける意味

・康診断を受ける前の気持ちとしては、「どこも悪くないのに受ける必要があるの」とか「もし何か見つかったら嫌だから受けたくないな」と感じている方が多いと思いますが皆さんはどうでしょうか?

・自分は健康だと思っていても実際には生活習慣病や他の病気が潜んでいるかもしれません
自覚症状がなくても進行していく病気は多いので、それらの病気の早期発見、早期治療をするために健康診断がとても有効です

・どんな病気でも早期発見・早期治療が大事ですが、一番大事なのは病気にならないように予防するということです
そのためにも、定期的に健康診断を受けることが重要です

健康診断の種類

・健康診断を受ければ、すべてが分かるという訳ではありません。検査の種類によって目的や内容などが異なります。受診する前に自分に適した健康診断を選びましょう。

特定健診

・みなさんは、なんらかの医療保険に加入しているはずですが、2008年4月からその保険ごとに健診が行われるようになりました。年度内に40歳から74歳になる医療保険加入者(本人)とその家族は、高齢者の医療確保に関する法律に基づいた「特定健康診査・特定保健指導」を受けることが義務付けられています。
これは内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)とその予備軍を見つけ出し生活習慣病を予防することが目的です。

・特定健診の目的は「生活習慣病」の予防なので健診後には「特定保健指導」が受けられます。
健診結果に応じて、「情報提供」、「動機づけ支援」、「積極的支援」の3段階にグループ分けされます。
指導を受ける対象者になると「生活改善プログラム」をもとにそれぞれ保健指導が実施されます。

・なお、会社で受ける企業健診や人間ドックを受けた場合も特定健診を受けたことになりますので、結果に応じて保険指導が実施されます。

企業健診

・労働安全衛生法で会社(事業主)は、従業員が健康で安全に働けるために健康診断を実施することが義務付けられています。
そのため年に一回の定期健診が行われているはずです。従業員の方にも健診を受けることが義務付けられています。

・万が一体に異常が見つかったときには、事業主は医師や保健師による保健指導を行ってもらい、従業員の健康維持や病状回復に努めなければいけません。

人間ドック

・なぜ「人間ドック」と呼ばれるようになったか皆さんは知っていますか?
初めは「短期入院精密身体検査」という名称でしたが、船が港の「ドック」に入って定期点検することから「人間も船と同じように、定期的に点検しなければいけない」という意味から「人間ドック」と呼ばれるようになりました。

・残念ながら人間ドックは医療保険の対象ではありません
そのため実施機関によって費用が異なります。
しかし加入保険によっては年齢などの条件を満たせば、一定額の補助が出る場合もありますので、事前に調べてみましょう

検診

・特定の疾患が心配な方や危険因子(がんなどの好発年齢、家族歴や性別)を持っている人を対象に実施されるのが、「がん検診」や「婦人科検診」です。
これらは発生部位ごとに、様々な検査を組み合わせて、異常があるかどうかを詳しく調べます。一般的な健康診断に含まれていないために、オプションで検査を受けます。

●検診の種類
・胃がん検診
・肺がん検診
・大腸がん検診
・乳がん検診
・子宮がん検診
・骨粗鬆症検診
・緑内障検診 などがあります。

背骨の健康診断

・カイロプラクティックには健康増進・維持・予防という効果もあります
「体が重だるい」「いらいらする」「疲れやすい・疲れが取れにくい」などはすでに半分不健康状態になっています
身体に痛みが出る前に背骨の健康診断をしましょう

次回は「検査結果の読み方」です。

最後までお読みいただきありがとうございました

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~伝統医学アーユルヴェーダ~様々な代替療法の起源を探る

みなさん、こんにちは
西口店の中北です

今回は、インドの伝統医学であるアーユルヴェーダを紹介します
(聞きなれない言葉が多くて難しいかもしれませんが・・・)

アーユルヴェーダの歴史はとても古く、はるか5000年前から始まったと言われています

かの有名な仏陀の生誕が2500年前なので、相当な歴史があることがわかります

アーユルヴェーダの語源は「生命の科学」という意味のサンスクリット語です

そして「この世とあの世において有益な学問がアーユルヴェーダである」としています

どういうことかというと、アーユルヴェーダでは生命を「肉体、感覚器官、精神、真我(アートマン)からなる」と考えていて、人間単体でなく、宇宙や過去・未来とのつながりなども考慮して、健康や治療を考えていくのです

つまり、生と死の観点から生命を考察し、どうすれば幸福で有益に長寿を生きることができるのかを説いた医哲学なのです

では、アーユルヴェーダでいう健康とはどのような状態なのでしょうか

アーユルヴェーダは、トリ・ドーシャ理論を基本とします

これは、ヴァータ、ピッタ、カパと呼ばれる3種類の生体エネルギー(ドーシャ)のバランスによって健康が左右される、という考えです

この3種類のエネルギーは以下のように分類されます

ヴァータ:風のエネルギー。運動や循環を担う
ピッタ:火のエネルギー。消化や代謝を担う
カパ:水のエネルギー。構造維持を担う

どんな人もこの3つのドーシャによって成り立っていますが、ある人はピッタが優勢で、ある人はカパとヴァータが優勢、というように、一人一人微妙にパワーバランスが違います

ですが、これらのバランスがとれていれば健康で、エネルギーが産生されることによりさらに健康維持・増進が成されます

しかし、これらのバランスが崩れると、代謝や消化が不完全になることで、不完全な代謝産物が生成され、病気へと進んでいってしまいます

バランスが崩れてしまう場合は、どれかのエネルギーが増大していることがほとんどだと考えられています

このトリ・ドーシャのバランスは、大別して5つの因子に影響されます

1.体質:持って生まれた優勢なドーシャによる特徴
2.時間:一日、季節、年齢
3.生活様式や五感からの刺激
4.場所:環境条件
5.天体:太陽、月、他の惑星

これらを考慮しながら、「病気の診断」と「病人の診断」をして、治療を行っていきます

アーユルヴェーダの医師は「ヴァイドヤ」と呼ばれ、インドでは大学や研究施設が多数存在し、国民の8割以上が治療を受けていると言われています

アーユルヴェーダの治療は、ドーシャのバランスをとることが目標ですが、増大したドーシャを抑制するだけではダメで、汚れを洗い落とすように身体の浄化も必要と考えられています

そのため、治療法は鎮静療法と浄化療法の2種類からなります

浄化療法としては、パンチャカルマが有名です

パンチャカルマは、どんな良薬でも体内の通路が閉塞しているとその効果が必要な組織に届かないとの考えに基づき、全ての治療の基本となっています

パンチャカルマは診断の後、前処置(プールヴァカルマ)、中心処置(プラダーナカルマ)、後処置(パスチャートカルマ)という過程で行われます

前処置は、体内の毒素や老廃物を出しやすくするために行います

・消化剤法(アーマパーチャナ):小食にしたり、消化を促すスパイスや薬草を摂取します

・油剤法(スネーハナカルマ):オイルマッサージの他に、薬草入りの精製バターを内服する方法もあります

・発汗法(スウェーダナカルマ):薬草を煎じた蒸気を使ったサウナで、頭部以外を加温し発汗させます

中心処置では、前処置により排出されやすくなった老廃物を外に出します

その方法は5つあり、これがパンチャカルマ=5つの方法という名前の由来です

催吐法(ヴァマナ):口から出す
経鼻法(ナスヤ):鼻から出す
瀉下法(ヴィレチャナ):小腸から出す
浣腸法(バスティ):大腸から出す
瀉血法(ラクタ・モークシャ):皮膚から出す

後処置は健康維持・予防のために行う生活指導や薬草の処方などで、鎮静法、食餌法、強壮法などがあります

これには、体質にあった毎日の過ごし方(ディナチャリヤー)や季節の過ごし方(リツチャリヤー)といった、独特なものもあります

早寝早起きが推奨され、ヴァータの時間帯(午前6時前)に起床し、カパの時間帯(夜10時前)に寝るのが良いとされています

また、日の出の96分前の時間は「宇宙の英知の時の時間」(ブラフマ・ムフールタ)と呼ばれ、この時にヨーガや瞑想を行うとエネルギーに満ちると言われています

季節の過ごし方としては、カパの増えやすい時期(3~6月)はスパイスを取り運動を心がけ、ピッタの増えやすい時期(6~10月)は体を冷まし、ヴァータの増えやすい時期(10~3月)は体を温め潤いを保つようにすると良いと言われます

薬草は食物やスパイスとともに診断によって処方されますが、薬を飲むときに一緒に取る液体が、お湯・ハチミツ・黒砂糖の溶液かによっても効果が変わると考えられていて、これらも細かく指導されます

アーユルヴェーダの臨床的効果としては、クーシャラ・スートラという独自の糸を用いた痔の手術が、西洋医学の外科的手術よりも治療日数が短いという報告があります

また、パンチャカルマによるQOL(生活の質)の向上などが報告されています

日本国内では、浣腸や点眼・点耳などが医療行為となるため、本来のパンチャカルマは実質、医師しか行うことができません

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