過去の記憶はあてにならない!?歪んだ事実と埋められる隙間

こんにちは。骨格屋のマシュマロ以外担当のもりぞうです

あなたは自分の記憶に自信がありますか?

例えば自分ではそうしたつもりと思っていても、
「鍵は確かにこのテーブルの上に置いていたんだけどな。。。

とか
「土曜じゃなくて日曜日で約束してたんだけどな。。。

と明らかに自分の記憶に間違いないはずなのに勘違いしていたり、相手がなんだか間違ってると感じることありませんか

本当に相手が勘違いしているかもしれませんが、あなたが間違っているのにもかかわらず信じ込んでいるかもしれません

というのも事実とは違う記憶はそう珍しいことではなく、むしろよくある話なんです

なぜ記憶違いが起こるかというと、人間の記憶の仕組みはビデオカメラが客観的な出来事をそのまま録画するように脳に定着させているわけではなく、私たちの脳は過去を何度も再現しているのです

つまり、伝言ゲームを何度も繰り返しているようなものです

ゲームの最後には実際起こっていたこととは全然違うことを言ってるなんてことはざらに起こります

この記憶違いの行程は、印象的な記憶を取り込む段階からすでに始まっています

感覚的な知覚のほとんどは無意識のうちに記録されてしかも長くはもたないのです

たいていは数時間のうちに消えてしまい、わずかなエッセンスだけが残って長期に残る記憶になります

何が残るかは選択にもよるし、その人ならではのものの見方も関わってきます
せわしない場面を見せてあとでその様子を話してもらうとします

すると、何が起こっていたかという描写は見た人が何を重要と判断し、何に興味をもっていたかで大きく変わってきます

どの部分に着目し、それをどう解釈したかによって楽しかったり恐ろしかったりします。もしくは単にごちゃごちゃした場面にしか見えないこともあるでしょう

つまり記憶とはそもそも「起こったことのまま」の記録ではないということですね
記憶になる前から見た人の編集の手が多いに入っているのです

事実を歪める過程は記憶が呼び起される際にも働いています

断片をくっつけたり削ったり、事実をねじったり引用したり、忘れてしまってできた隙間を埋めたりします

空想したことを意識的に加えてしまうこともあります
例えば、あの時こういえば良かったと思い、その時に辛辣なコメントを思いついたとします

すると、その意見も含めて再編集された新バージョンの記憶が保存されて、人に伝える時には空想のコメントもくっつけて登場します

やがて「事実」の記憶と空想部分を区別することが本人にも難しくなり、こうして少しずつ記憶は変化していきます

そうすると、全て偽りの記憶を作り出すのも無理な話ではなくなります

ワシントン大学で心理学を研究しているエリザベス・ロフタスとジャクリーン・ピクレルは事実ではないことを「思い出させる」だけで、嘘の記憶を植えつけられることを示しました。

24人の被験者に、これはあなたの子供時代に本当に起こったことを親戚から取材したのだと前置きして、4つの短い話を読んでもらいました。

4つのうち3つは事実ですが、1つだけはでっち上げです

でっち上げた内容は、ショッピングセンターで迷子になってしまい、泣いているところを知らない人に助けてもらったという話です。

4つの話を読みあとで思い出してもらうと被験者の4人に1人は嘘のエピソードも事実だと主張したそうです

ただし偽りの記憶も、もし本人が体験していれば事実になります
でも、実際に起こったことを思い出そうとするときと虚偽の記憶を呼び起こすときには脳の活動が異なります

ハーバード大学のダニエル・シャクターは12人の女性を対象に実験を行いました。

既知の単語と未知の単語を取り混ぜたリストを作成して知っている単語かどうか考えながら見てもらいました。
その時に脳をPETスキャンで脳のどの部位が活動しているかを調べました。

知っている単語の時には記憶に関わる海馬と言語野が活発になったのですが、本当は知らないのに見たことがあると思っている時にはそれらの部位に加えて眼窩上皮質という部位もさかんに活動していました

眼窩上皮質は「何か変だな。。。」と思ったときに活発になる部位です。

つまりは脳は記憶が正しくないことを知っていて「?」マークを発し続けているのです

もし、この実験結果が短期記憶だけでなく、長期記憶にも当てはまるとしたら法廷や治療の場にも脳スキャンの機械が登場して真偽を確かめられるかもしれません

側頭葉の軽度のてんかんや認知症といった他の症状をもっていなくても程度の差こそあれ、今までのことが事実ならば疾患がない方にも真実だと思い込んだり、真実と嘘が入り混じって会話をしているということになります

脳はそもそも入ってくる情報を明快なパターンに整理したがります

それがどうしても不完全な記憶や断片的な記憶ができるとそれではおさまりが悪いので脈絡のない断片的な記憶を寄せ集めて真実も嘘もごちゃまぜにして話を作り上げてしまいます

いかにも本人にとって「ありそうな」完成形に無理やりもっていってしまうのです

自分のあるべき過去に基づいて当然のように嘘に嘘を積み重ねていく人もいますが、そうすると信頼が損なわれて安定した人間関係は築けません

作話は前頭葉の損傷と関係があるとされています

先ほどの脳の「ウソ発見器」の機能がうまく作用していないためにほんとうの記憶がぼやけてきて偽りに転じてもこれっぽっちも不安を感じなくなります

アルコール依存症から起こるコルサコフ症候群の患者さんは前頭葉に異変を見つけられることが多く、コルサコフ症候群では記憶力が大幅に損なわれるため大きな空白を埋めようとして作話を行うものと考えられています

このように人が昔のことや過去のことを話しているときはもしかしたらかなり編集された新しい物語を話している可能性があるということです。もっというと自分の記憶ですら話半分くらいしか正当性がないにもかかわらず、さもあったことのように話しているのかもしれません

会話のなかでどっちかの思い違いで話や理解がかみ合わないこともあると思いますが、もしかしたら自分も聞き間違いや言い間違いしていた可能性があることを肝に銘じてコミュニケーションをする必要がありそうです

そうすれば他人との会話でもう少し意固地になりすぎずその話に耳を傾けることができるかもしれません

今日も骨格屋のブログを最後までご覧いただきありがとうございました
もりぞうでした(・◇・)ゞ。
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