シリーズ/人体の神秘 ミクロアドベンチャー 第3話:酸の海(後編)

「あれっ、博士、あそこに溝のようなものができてますよ」
「ん、ちょっと近づいて見に行ってみようかのぉ…

会話の途中ですが、こんにちは西口店の井岡です

人体の不思議に興味を抱き、ヨネゾ博士と一緒にミクロアドベンチャー号に乗って、人の体の中へとミクロの冒険を始めたアルボ君
前回は胃液の殺菌や消毒作用、消化酵素のことや胃粘膜の保護など胃液の働きについてみてきました。さて、今日はどんなことが待っているのでしょうか

「ほらっ、あそこに」
「ん、どれどれ、ホントじゃ。ありゃりゃ~、あれは潰瘍(かいよう)じゃな~」

「潰瘍?」

「アルボ君、胃で分泌されている胃酸や消化酵素、粘液の量というのは、神経やホルモンの働きによって、いつもバランス良く調整されておるんじゃよ
「へぇ~」
「胃酸が多くなって粘液が少なくなるとどうなると思う?」

「バランスが崩れて壁を保護できないんだからぁ…、胃の中が傷ついてしまいそうー」
「その通りじゃ、胃粘膜が傷ついてしまったものを胃潰瘍と言うんじゃぞぃ」
「なんだか痛そう」

「身体の中って絶妙な調節で保たれているんですね」
「そうなんじゃ、色々な情報のやりとりが行われて適切なバランスをとっているんじゃよ」

「潰瘍になる原因って何なんですか?」
「そうじゃなぁ、ストレス、薬、タバコ、過剰なアルコール摂取、ピロリ菌感染など色々あってな、それらが原因と言われておるんじゃ

(因みに、胃液の分泌は自律神経やホルモンの働きによって行われています。ストレスの際に分泌が多くなる副腎皮質ホルモンは胃の粘液分泌を抑える働きがあります。)

「食事しても痛いんですか?」
「そうじゃ、胃潰瘍は食事をした後も痛いんじゃよ。因みに、胃の先にある十二指腸というところに潰瘍があると、空腹時や夜寝てる時に痛くなったりもするんじゃが、食べることによって少し改善する傾向がみられるんじゃ」
「へぇー、場所によって少し違うんですね」

(十二指腸潰瘍の腹痛は背部へ放散することもあります。また、持続性の強い腹痛の場合は穿孔(せんこう:穴があくこと)の可能性も疑われます。そのような場合は専門医にみてもらいましょう。)

胃の中の状態は神経の働きやホルモンの作用などによって、いつも良いバランスで保たれているんですね
今日のアルボ君は、胃液の調節や胃潰瘍のことについて理解できたようです。
さて、次回のミクロアドベンチャー…

「うわぁっ、博士、大変です
「ん、どうかしたかぃのぅ?」

「ア、アドベンチャー号が少し溶けてきてるみたいです
「たっ、大変じゃー・・・」

おやおや、アドベンチャー号にアクシデント発生のようですよ。
果たしてこの後どうなってしまうのでしょうか

つづく

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